RHEPからの声

UNHCRからのメッセージ

2022年6月にUNHCRが発表した「グローバル・トレンズ・レポート」において、2021年末時点で、8,930万人が故郷を追われていると報告されました。
そして今年に入り、ロシアのウクライナ侵攻により、第二次世界大戦以降、最大かつ最速に拡大している難民危機が起こり、アフリカ、アフガニスタンなど各地域で発生している危機も加わり、強制移動の数が1億人を超える衝撃的な記録となりました。
また、強制移動の子どものうち約40%が18歳未満であり、高等教育を受けられている難民の若者は約5%です。
UNHCRは、1951年難民条約でも、教育を受けることは基本的人権の大きな柱であると主張し、包括的で公正な質の高い教育と生涯学習の機会をすべての人に促進すべき、と考えており、またそれは持続可能な開発目標(SDGs)の目標4とも合致しています。
難民高等教育プログラム(RHEP)では、14校のパートナー大学が、難民の人々が新しい環境で一歩を踏み出すための、高等教育の機会を提供してくださっています。
私たちは、このプログラムに携われていることをとても誇りに思っており、より良い社会を目指すパートナー大学のご協力に感謝申し上げます。
難民高等教育プログラムは、2006年のプログラム開始以来、約90名の難民の人々に高等教育の機会を提供してきました。
これは、難民の人々が新しいスキルと知識を習得し、新しい社会で活躍するための重要な機会となっています。
UNHCRが目指す「15by30」(2030年までに、15%の難民の若者が高等教育を受けられるようになる)の達成には、更なる高等教育の機会の提供が求められています。
UNHCRは、難民高等教育プログラムがさらに充実し、難民の教育を支援していけるよう、パートナー大学の主体的なご尽力をサポートしていきたいと考えております。

UNHCR駐日代表 カレン・ファルカス
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川合雅幸 UNHCR RHEPはじめに、日本に在住する難民の人々に大学で学ぶ機会を提供する、難民高等教育プログラム に協力してくださっている14校のパートナー大学の皆様に深く感謝申し上げます。
当協会は、難民高等教育プログラム(RHEP)に2016年より参画し、UNHCR駐日事務所とパートナー大学の皆様、そして市民社会の皆様と共に、難民の若者に高等教育の機会を提供してまいりました。
いま世界は、前例のない深刻な難民危機に直面しています。
世界の至る所で、戦争と紛争、宗教、人種差別、環境破壊、政治の横暴等々の理由で、1億人以上の人々が故郷を追われ、困難に立ち向かっています。
このような中、ウクライナ人道危機をきっかけとして、日本でも、難民問題に関する社会の意識が非常に高まってきています。
日本において難民の背景を持つ若者が教育の機会を手にするということは、一人ひとりの未来を創ることだけでなく、日本や母国、そして世界中で活躍し、平和な社会を再構築するにあたって非常に重要な意味を持ちますし、日本社会での難民支援の大きな柱になるものと考えます。
まさに、日本社会の様々なセクターの皆様方のお力添えがあってこそ、日々奮闘している学生一人ひとりの未来の実現に近づくことになるからです。
難民高等教育プログラムがさらに充実し、日本社会として、意欲ある若者の教育と未来を支え続けていけるよう、今後も、パートナー大学の主体的なご尽力をサポートしていきたいと考えております。

国連UNHCR協会 事務局長 川合 雅幸

RHEP事務局からのメッセージ

世界中の若者の内、約35%が大学をはじめとする高等教育を受けているのに対して、高等教育を受けている難民の若者は、UNHCRの報告によると、わずか5%です。
日本には現在、約1万5000人が国を逃れ、難民または難民に類する地位を得て生活していますが、日本にいる難民にとっても、高等教育へのアクセスは決して容易ではありません。
そのようななか、RHEPを通して大学で学ぶというチャンスをつかんだ学生たちは、大学や市民社会のサポートのもと、日本人の同級生たちと切磋琢磨しながら、それぞれが充実した学生生活を送り、社会に旅立っています。
日本で企業に勤める人、海外で仕事を得る人、国内外で起業する人と様々ですが、祖国と日本のかけはしになりたいとの夢を実現している人も多くいます。
プログラムを通して、難民の若者が自己実現のチャンスをつかむこと、そして、同じ大学で机を並べて学ぶ日本人の学生も、難民問題を「遠い国のこと」ではなく、身近なこと、自分のこととしてとらえ直し、共に歩むことができる、RHEPがそのような機会となることを私たちは願っています。UNHCR RHEP 葛西伶 芳島昭一 天沼耕平

RHEP事務局
(UNHCR駐日事務所 葛西 伶、国連UNHCR協会 芳島 昭一、天沼 耕平)